冬キャンプで使われる薪ストーブは、一酸化炭素中毒の危険はあるのでしょうか?
冬キャンプで使われる薪ストーブの話題に、必ず出てくるのが「一酸化炭素中毒問題」です。
一酸化炭素中毒は症状が酷くなると、大変なことになるといわれています。
では薪ストーブを使っていると、一酸化炭素中毒が発生してしまうのでしょうか。
今回は冬キャンプでの一酸化炭素中毒問題 薪ストーブは安全か 危険かについてご紹介します。
目次
一酸化炭素の4つの特徴!
みなさんは一酸化炭素がどのようなものかご存じでしょうか?
二酸化炭素や酸素はなんとなくわかると思います。
ところが一酸化炭素については、ほとんどの人がよくわからないのではないでしょうか。
こちらでは一酸化炭素の4つの特徴についてご紹介します。
①無味無臭のガス
一酸化炭素の1つ目の特徴が「無味無臭のガス」ということです。
ガスというからには 何らかの臭いがありそうですが、一酸化炭素には 全く臭いがなく、普通に空気を吸っている時とほぼ同じです。
ちなみにプロパンガスや都市ガス自体も本来は無味無臭です。
プロパンガスや都市ガスは、使用者にガス漏れを知らせるために わざと臭いを付けています。
ただし、プロパンガスや都市ガスの臭い自体は 無害なものが使われています。
②吸い過ぎると中毒を起こす
一酸化炭素の2つ目の特徴が「吸い過ぎると中毒を起こす」ことです。
意外かもしれませんが、一酸化炭素は微量であれば、一酸化窒素のように有益な働きをしてくれます。
ところが吸い過ぎると、中毒を起こし大変危険なガスになります。
日本において一酸化炭素中毒による死亡者数は、年間2,000人くらいといわれています。
実は日本においての ガス中毒死亡者数全体の 約半数を占めるのが、この一酸化炭素中毒なのです。
③燃料の不完全燃焼で発生する
一酸化炭素の3つ目の特徴が「燃料の不完全燃焼で発生する」ことです。
一酸化炭素が発生するそもそもの原因は「燃料の不完全燃焼」です。
燃料は完全燃焼すると、二酸化炭素と水が発生します。
ところが燃料を燃焼させる時に酸素が不足すると、不完全燃焼を起こし、可燃ガスである一酸化炭素が発生します。
④練炭・火災・ガス機器が発生源
一酸化炭素の4つ目の特徴が「練炭・火災・ガス機器が発生源」です。
一酸化炭素の発生源は、練炭、火災、ガス機器(湯沸器、コンロ、風呂釜、ファンヒーター)、石油ストーブ、炭火、豆炭、BBQコンロなどです。
一酸化炭素中毒の3つの特徴!
一酸化炭素を吸い過ぎると中毒になるといわれています。
では一体どんな特徴があるのでしょうか。
こちらでは一酸化炭素中毒の3つの特徴についてご紹介します。
①ヘモグロビンの酸素運搬能力を低下させる
一酸化炭素中毒の1つ目の特徴が「ヘモグロビンの酸素運搬能力を低下させる」ことです。
一酸化炭素を ある濃度を超えるほど吸ってしまうと、身体は中毒を起こしてしまいます。
その理由は、ヘモグロビンの酸素運搬能力を低下させるからです。
人間は身体の生命を維持し続けるには、身体の各組織に酸素を絶えず送り込まなければなりせん。
正常な状態であれば、酸素はヘモグロビンに付いて各組織に酸素を届けます。
ところで一酸化炭素は体内に入ると「カルボキシヘモグロビン」を形成します。
「カルボキシヘモグロビン」は、ヘモグロビンとの親和性(相性)が良く、親和性は酸素の約200倍以上といわれています。
「カルボキシヘモグロビン」が増えすぎると、ヘモグロビンと酸素が結合できず、各組織は酸素不足の状態になります。
②頭痛から死に至る
一酸化炭素中毒の2つ目の特徴が「頭痛から死に至る」ことです。
一酸化炭素中毒の初期症状になると、頭痛、吐き気、筋肉痛、めまい、視力障害、精神・神経症状が発生します。
重症化すると、痙攣、錯乱、意識障害、呼吸停止、心停止、死に至り、大変危険です。
③軽度であれば新鮮な空気を吸入することで改善する
一酸化炭素中毒の3つ目の特徴が「軽度であれば新鮮な空気を吸入することで改善する」ことです。
一酸化炭素中毒になっても、症状が軽度のうちであれば、新鮮な空気を吸うだけで改善することができます。
重症化した患者さまには、酸素マスクを付け、高濃度の酸素を投与し続けることで改善することもあります。
冬キャンプで薪ストーブが一酸化炭素中毒になりにくい2つの理由!
一般的なイメージからすると、薪ストーブが最も一酸化炭素中毒を起こしやすいイメージがありませんか?
ところがそのイメージに反して、薪ストーブが最も一酸化炭素中毒を起こしにくい暖房器具なんです。
こちらでは冬キャンプで薪ストーブが一酸化炭素中毒になりにくい2つの理由についてご紹介します。
①二次燃焼効果
冬キャンプで薪ストーブが一酸化炭素中毒になりにくい1つ目の理由が「二次燃焼効果」です。
薪ストーブにおいての一次燃焼とは、薪が燃焼することです。
一次燃焼の時に燃えずに発生した可燃ガスの中には、一酸化炭素があります。
薪ストーブには、2度目の燃焼である二次燃焼の仕組みが組み込まれています。
この二次燃焼の段階で、一次燃焼で燃焼できなかった 一酸化炭素を燃焼しつくします。
②煙突のドラフト効果
冬キャンプで薪ストーブが一酸化炭素中毒になりにくい2つ目の理由が「煙突のドラフト効果」です。
冬キャンプでテントの中に薪ストーブを設置する時には、必ず煙突も一緒に設置します。
薪ストーブを燃焼させると、煙突内では「ドラフト」が起こります。
「ドラフト」とは、温かい空気が上昇していくことです。
この「ドラフト」によって、仮に二次燃焼でも燃焼できなかった一酸化炭素も、温かい空気と一緒になって、煙突から空気中に排出されます。